公立高校入試分析 第1回「出題の傾向と大学入試改革の影響」
☆2018年入試問題は「大学入学共通テスト」を見据えて、確実に変化!
昨年、大学入試改革の目玉である「大学入学共通テスト」(以降、共通テスト)の「プレテスト」が実施されました。記述問題やマーク式の問題の新しい出題パターンが公開され、課題なども示されました。高校入試の変化は、まさしく「共通テスト」で示された出題パターンの変化と軌を一としており、「思考力・表現力」を評価するための出題形式の変化ということができます。
今後、出題されるであろう、出題形式まとめ
〇出題者が問題文で示した流れに沿って、解答するだけでなく、問題解決のプロセスを自ら選択しながら解答する部分が含まれるようにする。
〇複数のテキストや資料を掲示し、必要な情報を組み合わせ、思考・判断させる。 〇文の異なる複数の文章の深い内容を比較検討させる。 〇学んだ内容を日常生活と結びつけて考えさせる。 〇正解が1つに限られない問題にする。 〇選択式でありながら複数の段階にわたる判断を要する問題とする。 〇世界を選択肢の中から選ばせるのではなく、必要な数値や記号等をマークさせる。 |
実際に、2018年度高校入試において、国語・英語では人工知能(AI)を題材とした問題、数学では問題文の条件設定が複雑な問題、理科では複数解選択の問題、社会では複数の資料の読み取りや時事的テーマの問題などが目立ちました。
☆各県入試の特徴は「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」のバランスで決まる!
2020年度からスタートする新学習指導要領では、各教科の学習内容において、養成すべき資質・能力が「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」に分けられ、具体的に明示されています。入試問題もこの二軸によって構成され、そのバランスが入試の特徴となっていると言えるでしょう。
今後の高校入試を考える際にも、「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」の出題バランスを見極めることが重要。現時点では、この二軸の比重は各都道府県によって異なっていますが、「思考力・判断力・表現力」型の出題が一定レベルに収束するはずです。しかしながら、「知識・技能」は多くの生徒にとって最重要事項であることは今後も変わらないでしょう。「思考力・判断力・表現力」は「知識・技能」の土台があってこそのものだからです。
ここ数年の高校入試問題を見る限り、二極化した問題は、難易度や正答率が著しく異なります。易しく得点し易い「知識・技能」型の問題と、これまでの対策では困難な「思考力・判断力・表現力」型の問題のいずれにも対応していくことが、喫緊の課題になります。
☆これから受験する皆さんへのアドバイス☆
①「知識・技能」は多くの生徒にとって最重要事項で、問題を解く「土台」であるから、最優先にする。
②易しく得点し易い「知識・技能」型の問題と、これまでの対策では困難な「思考力・判断力・表現力」型の問題のいずれにも対応していく。